「雪の日」こそピアノ曲

 

雪が降りました。

銀座から埼玉に帰りましたら雪国になっていました。
 
そんな時こそ雪の音楽を。と、この時期は毎年こんなことを言っているような気もいたしますけれども。
 
♫ドビュッシーの「雪は踊っている」
組曲「子供の領分」の中の一曲、繰り返されるミ−ファ–ソ–ラという着地点のない音の並びがいつまでも降り続く雪の様子を表しています。
雪は上から降ってくるものですから、普通でしたら、下降音形を用いて表現しそうなものですが、ドビュッシーは上昇音形を使いました。
まさしく、雪は踊っている。お見事!
 
 
♫同じくドビュッシーの「雪の上の足跡」 
前奏曲第1巻の中にある傑作です。真っ白い雪の上をゆっくりとひとりの人が歩いてゆく、ときおり立ち止まり、また歩いてゆく、ただそれだけの音楽です。素晴らしい。
 
 
♫シューベルトの名曲アヴェ・マリアをリストがピアノ用に編曲しています。クリスマスになると演奏頻度が高くなりますが、特に冬の曲というわけでもありますまい。しかし、このリストの編曲を聴いて雪を連想しない人はおりますまい。
曲の後半、中音域で左手がメロディーを歌い右手は上から広範囲をアルペジオで舞い散る雪の様に装飾します。単純ですが極めて美しい箇所です。
 
 
♫同じくリスト、練習曲に「雪かき」という馬鹿げた邦題がつけられてしまった曲があります。この曲を聴いてどこが雪かきなのかと首を傾げた人も多いでしょうに。
 
この曲の表すところは、積もった雪をえっこら搔き上げるおっさんたちの姿ではなく、雪荒ぶ情景そのものなのです。トレモロとシンプルな旋律が寒々しさを演出します。僕が好きな瞬間は終わり間際、ようやく吹雪も収まろうかというなか、風の名残がまだ軽く雪を舞い上げる…そんな情景が眼に浮かぶように演奏できたら理想なんだけれど、いかんせん難しく、さらには3度のパッセージが追加され拷問のような半音階となった左手の動きであります。
流石に最近は「雪嵐」と表記されるようになってまいりました。
 
雪かきは明日、やりましょう。