ピアノをやっていて「良かったこと」

 

 

世間ではしばしば子供にピアノを習わせると頭が良くなると言われるけれど、僕の頭はたいして良くはならなかった。

 

学校の勉強はまるでせず、ピアノばかり弾いていたのですから当然でありますがね。

 

 

 

僕自身の経験から感じるピアノの利点というのは、生活から「焦り」がなくなったということ。

 

これはピアノの練習の賜物。

 

 

 

多くの仕事が締め切りや納期に追われるのと同様、僕たちは迫り来る本番というものに終始追われている。

 

学生は試験に追われ毎週のレッスンに追われている。

 

 

年に1つのプログラムを磨き上げそれだけで世界中を飛び回る大物とは違い、

 

僕みたいなのは毎月違う曲目を準備し、毎週のように送られてくる譜面たちと格闘している。

 

 

 

今もちょうど来月に急遽ショパンのピアノ三重奏を弾くことになり練習を始めたところである。

 

はじめて取り組む曲である上、決して易しい曲でないのは百も承知だし、

 

4楽章の音の多さに途方に暮れるものの、たいして焦りはない。

 

 

 

練習は効率よく進めたい。

 

あれこれやってたどり着いたのは「急がば回れ」の精神である。

 

とにかくゆっくり弾くに越したことはない。ゆっくり弾いていると色々なものが見えてくる。

 

それが面白く、そうしないことがもったいなくて、ゆっくり弾きたくて仕方がないと思うようになる。

 

そうすると自分の話し方とか、所作のいちいちがゆっくりになってくる。練習中に時間が止まってしまったかのように錯覚するときもある。

 

 

 

そんな練習ばかりを毎日やっている。

 

すると本番の大体3日前くらいに突然、どんなテンポでも弾けるようになっていることに気付く。

 

 

 

これ逆に言えば、3日前まではまるで弾けるようになる気配がないのだが(笑)

 

あんまりのんびりし過ぎていても、周りの人をイラつかせることがあるようなので、程々が肝心なようだ。

 

 

 

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とまあ、習う側も、教える側も、ピアノの習い事にあまり過度な期待はしない方がいい。

 

 

 

僕は教師としては、ピアノが好きで音楽に感動できる人間になってくれたらいいな、

 

とだけ思っている。

 

 

 

それで十分ではないですか。