聴かせ所の多い作品です。念入りに練習したい箇所があちらこちらにあります。
練習ポイントとなると、難しい連符や技巧的なコーダに目が行くのは重々承知ではありますが…
まずはここ!
この曲の顔でもある最初のテーマを美しく弾くことから始めましょう✨
ショパンのこだわり ちょっと見て!
もとよりショパンという人は楽譜の指示がとにかく細かい、音符だけでなく、スラーのかかり方、休符の入り方、ペダルの効果、独特の運指等、そこまで書く?という程、とにかく細かいんです。
しかしどうかな、ショパンが思い描いていた音楽の、その微妙なニュアンスまでは到底、楽譜というシステムの中には収まりきらなかったのではないでしょうか。今のような録音技術もない時代、もどかしいですね。
それでもショパンには自分の中に生まれた音楽を何とかして書き起こし、できる限り正確に後世に伝えたいという強い思いがあったのだろうね。
で、ちょっと見てくださいよ!
ここだけでもショパンのこだわりって凄いんです。
みみっちいともいう(小声)
念入りな保持音
ド、レ、ファ♯が保持音になるように、律儀にも順に二分音符、付点四分音符、四分音符で書かれています。
ここまで念入りに記譜された保持音、なぜショパンはこんな書き方をしたのでしょうか。
実際に演奏してみますと、これらの保持音では指が鍵盤を押さえたままの状態になりますから、結果としてここにドレファ♯の和音が生まれます。
ここに左手のバスの音も加えて、さらには次の小節も和音でとらえてみます。
🟥赤の和音→🟦青の和音
とハーモニーが変化します。和音の性質としては、
🟥緊張→🟦緩和
といったところでしょうか。
音楽用語で言っちゃうと、ト短調における
🟥ドミナント→🟦トニック
ところで、この小節ではペダルが踏まれていますから、保持音を保持しようがしまいが(変な言い方よね)出来上がる響きにさほど違いは無いとも言えます。
しかし指を鍵盤から離さず各音を保持することで鍵盤と指先が一体となってハーモニーを体感できる、その感覚をショパンは何より大切にしているのでしょう。
しかし指を鍵盤から離さず各音を保持することで鍵盤と指先が一体となってハーモニーを体感できる、その感覚をショパンは何より大切にしているのでしょう。
5-5の運指
その結果、シ♭→ラ を 5-5 で弾けとあります。
ショパン自身がこう指定したのかはわかりませんが、ほとんどの楽譜はこの運指があてられています。
同じ指をスライドさせるのはショパンの得意技でしたからね。
1.2.3指はドレファ♯を押さえていますから、どうしたって5指をスライドさせるしか道はないのですけどね。
存在感抜群のアクセント記号
さあ最後に、このフレーズを形作るうえで忘れてならないのが、存在感抜群のアクセント記号!
これは自筆譜にも、はっきりでかでかと書いてあります。
この2小節をハーモニーで捉えたとき、その性質は緊張→緩和でありましたから、このアクセント記号はドミナントとしての緊張感を表現せよという重要なメッセージとなりますね。
◾️まとめ
・念入りに記譜された保持音
・5 - 5 の運指
・存在感抜群のアクセント記号
これらを無視することは、もう出来ないですよね。
全てがこの美しい音楽には必要なのですから。